運転資金回転期間とは
運転資金確保の重要性については、これまで当サイトでも触れてきましたが、もし資金調達を行うのであればどのタイミングでいくら実行するべきなのかを的確に判断する必要があります。
経営や財務のコンサルタントに相談してアドバイスをもらうのが確実ですが、自分で正しい計算式をもとに回転期間を算出すれば、客観的な判断を下すことは可能です。
自社の運転資金の状況を知ることもできるので、経営者が必ず行うべきことの一つとも言えます。
運転資金回転期間とは?
例えば、販売業のビジネスで考えてみます。売上金を回収するまでの流れは
商品を仕入れる → 商品を販売する → 商品が売れて売上金を回収する
といったサイクルになるでしょう。
仕入れでお金が出ていき、商品を販売し売却することではじめてお金が入ってくるのですが、この売上金を回収する一連の期間を表したものが「運転資金回転期間」なのです。
当然ながら、運転資金回転期間は短くなることがベストです。次項ではそのための対策法ついても触れていきます。
運転資金回転期間を把握する
運転資金回転期間を算出するためには、まず3つの回転期間について数値化する必要があります。
下記の計算方法にあてはめて算出してみましょう。回転率の計算式も合わせて紹介しておきます。
売上債権回転期間
商品を販売してから売上金を回収するまでの期間。
算出方法
・売上債権回転期間=(売掛金+受取手形)÷{年間売上高÷365日(または12ヵ月)}
(例)売上債権100万円・年間売上高1,000万円の場合
100万円÷(1000万円÷365)=売上債権回転期間36.5日
・売上債権回転率=年間売上高÷(売掛金+受取手形)
運転資金回転期間を短くするためには、“売上債権回転期間を小さくする”
棚卸資産回転期間
商品の仕入れから売却までの期間。在庫回転期間とも呼びます。
算出方法
・棚卸資産回転期間=棚卸資産÷{年間売上原価÷365日(または12ヵ月)}
(例)棚卸資産200万円・年間売上高1,000万円の場合
200万円÷(1000万円÷365日)=棚卸資産回転期間73.2日
・棚卸資産回転率=年間売上原価÷棚卸資産
運転資金回転期間を短くするためには、“棚卸資産回転期間小さくする”
買入債務回転期間
商品の仕入れから支払いまでの期間。
算出方法
・買入債務回転期間=(買掛金+支払手形+受取手形の譲渡高)÷{年間売上原価÷365日(または12ヵ月)}
(例)買入債務150万円・年間売上高1,000万円の場合
150万円÷(1000万円÷365日)=買入債務回転期間54.9日
・買入債務回転率=売上・仕入原価÷(買掛金+支払手形+受取手形の譲渡高)
運転資金回転期間を短くするためには、“買入債務回転期間を大きくする”
運転資金回転期間の算出
3つの回転期間を用いて計算することで、運転資金回転期間をあらわすことができます。計算方法は以下の通りです。
算出方法
・運転資金回転期間=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間
(例)売上債権回転期間36.5日、棚卸資産回転期間73.2日、買入債務回転期間54.9日の場合
36.5+73.2-54.9=運転資金回転期間54.8日
つまりこの会社の場合、54.8日の運転資金が必要になることが、この計算でわかります。
また、金額に関しては、
年間売上高×運転資金÷365日
で計算すればよいので、年間売上高が1,000万円であれば150万円の運転資金が必要であることもわかるのです。
資金調達は必要か?
回転期間を算出できれば、資金調達の必要性もおのずと見えてきます。
売上債権と棚卸資産の合計が買入債務よりも大きくなっていれば、その会社は資金調達が必要となります。
前項の例をそのまま適応すると、
売上債権100万円+棚卸資産200万円=300万円>150万円
→54.8日の運転資金 150万円の資金調達が必要!
逆に買入債務の方が大きいのであれば、売上債権を回収すれば買入債務の支払いが可能となるので、資金調達の必要はありません。
ファクタリングや銀行融資などで資金調達を考える際は、運転資金回転期間を指標に検討しましょう。